空挺兵が吸っていたタバコの銘柄 ― ラッキーストライク「緑は戦争に行った」の裏側

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ヘルメットの黒ゴムバンドの記事でも触れたタバコについて、今回は銘柄を中心に掘り下げます。誤りがあればご指摘ください。

WWII米軍のタバコは、個人の嗜好品というより配給の一部だった。K-レーション・C-レーションに同梱される形で、ほぼ全員に行き渡っていた。


① 配給されていた銘柄

K-レーションでは1食ごとに4本入りのミニパックが同梱され、1日3食で計12本が支給された。同梱される銘柄は固定ではなく、複数ブランドのサンプルパックのような形で配られていた。

  • K-レーションでよく見られた銘柄:チェスターフィールド、フィリップモリス、キャメル、チェルシー、ラッキーストライク、ローリー、フリートウッド、オールドゴールドなど
  • C-レーション(1食あたり9本):キャメル、チェルシー、チェスターフィールド、クレイヴンA、オールドゴールド、フィリップモリス、プレイヤーズ、ローリー、ウィングスなど

意外に思われるかもしれないが、「ラッキーストライク」が一番有名なブランドではあるものの、実際の配給頻度でいうとチェスターフィールドが最も多く含まれていたという記述がある。海外の前線に送られたのは主にラッキーストライク・キャメル・チェスターフィールドで、トルコ産ブランドや無名ブランドは本国の民間人向けに回されていた。


② ラッキーストライクのパッケージ神話:「グリーンは戦争に行った」

ここが一番面白いポイントだ。1942年、ラッキーストライクはそれまでの濃い緑色のパッケージを、白色に変更した。当時のキャンペーンスローガンが“Lucky Strike Green Has Gone to War”(ラッキーストライクのグリーンは戦争に行った)――緑の顔料に使われる銅が戦争のために必要になったから、という愛国的な理由付けだった。

ところが、これは巧妙な広告戦略だったというのが実際のところに近い。当時、女性の喫煙者が増えていたが、緑と赤を使った旧パッケージが服の色と合わない、という理由で敬遠されがちだった。真珠湾攻撃後の空気を利用して、会社側は「愛国的な自己犠牲」という体裁でブランドイメージを一新した、という見方だ。結果としてこのキャンペーンは大成功し、売上が40%も伸びたとされる。

考証メモ:つまり「戦争のために色を変えた」という話自体が、当時の巧みなマーケティングだった可能性が高い。ただし結果として1942年以降のラッキーストライクは白パッケージが正しいという事実は考証上そのまま使える。


③ 考証の罠:緑パッケージと白パッケージ、時代が違う

1942年より前を再現するなら緑パッケージ、1942年以降(D-Day含む多くの戦域)なら白パッケージが正しい。ヘルメットの黒ゴムバンドにタバコを挟むような小道具としてラッキーストライクを使う場合、このパッケージ色の年代差は忘れずにチェックしたい。


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