タグ: ホルスター

  • M1911用レザーホルスター(M1916ホルスター)入門 ― 買う前に知っておきたい色の時代差

    ※本記事にはAliExpressアフィリエイトプログラムによるアフィリエイト広告が含まれています。

    ※この記事は、まだ実物・レプリカを手元に持っていない段階で書いている下書きです。断定できる部分と、諸説あって断定を避ける部分はなるべく分けています。誤りがあればご指摘ください。

    M1911(.45ACP)拳銃を携行するために使われた革製ホルスターは、正式には「M1916ホルスター」と呼ばれるフラップ式のケースだ。ピストルベルトに通して腰に下げる、WWII米軍装備の定番アイテムのひとつ。


    ① M1916ホルスターとは

    拳銃の握把(グリップ)部分まですっぽり覆う「フラップ」が特徴で、スナップボタンで留める。革製で、ベルトに通すための帯状のループが背面に付いており、M1912/M1936系のピストルベルトに装着して使う。

    訂正:色の時代差は当初の想定と違った。 WWII期は一貫して「ラセット(russet、赤茶色)」のオイル仕上げ革が標準で、戦時中に公式に黒へ切り替わったという事実はなかった。生産を急ぐため、無塗装の”ピンク”(自然な淡い茶色)のまま出荷されたり、兵士自身がニーツフットオイルや靴クリームで自分の判断で色を濃くしたりすることはあった。黒染めが公式化したのは戦後、朝鮮戦争後の1950年代で、当時大量に余っていたWWII製M1916ホルスターが後年まとめて黒く染め直された、というのが実態に近い。なので「表はラセット、裏は元の色のまま」という中途半端な個体もコレクター市場では珍しくない(靴染料が正装ズボンに移るのを嫌って、表だけ染めた名残りとされる)。


    ② 実物の特徴

    • フラップにスナップボタンがあり、グリップまで覆って雨や砂埃から守る設計
    • 背面にベルトループがあり、ピストルベルトに通して固定する
    • 革の内側やフラップ裏に製造者の刻印・検査官のスタンプ(いわゆるオーディナンスボム/ordnance bombマーク)が入っていることが多い
    • 複数の契約メーカーが製造していたため、刻印の書体・配置には個体差がある

    ③ 現行レプリカは何を再現しているのか

    現行のレプリカは、フラップの形状とベルトループという基本構造は再現しているものが多い。一方で革の質感と刻印の精度は商品ごとの差が大きい部分で、ここは実物を手にして比べないと判断できない。筆者も購入を予定しているので、届いたらこの章は実物ベースで書き直す。


    ④ 考証判定:ここが罠になりやすい

    「WWII仕様=黒」という商品には注意。 上記の通り、黒染めは戦後の朝鮮戦争以降の仕様であり、WWII当時を再現するならラセット(赤茶〜自然な淡い茶色)が正解。黒いM1916ホルスターを「WWII仕様」として売っている商品を見かけたら、時代考証としては誤りの可能性が高いので注意したい。

    ベルトループの幅・留め方が実際のピストルベルトに合うか。 レプリカによってはループの寸法が現行の複製ピストルベルトの厚みと合わないことがあるかもしれない。届いたら実際に装着して確認する。


    買い方・調達ガイド

    ④で書いた通り、このホルスターは色の選択が考証そのものを左右する。商品ページで色を選べる場合、WWIIを再現するなら迷わずブラウン側を選ぶ。

    ④で触れたM1916フラップホルスター(AliExpress):

    ※この出品はブラックとブラウンの2色から選べる。④で書いたとおり黒染めは朝鮮戦争以降の仕様なので、WWIIの再現なら必ずブラウンを選ぶこと。同じ商品ページでも、色を間違えると年代がまるごとずれる。

    ※フラップ形状とベルトループという基本構造は写真で確認できる。一方②で触れた刻印(製造者名・オーディナンスボム)の再現度は、この手のレプリカでは期待しすぎないほうがいい。ショルダー式(M3/M7)との使い分けはM1911のショルダーホルスター ― M3とM7、空挺兵に好まれたのはどちらかにまとめてある。


    関連記事


    出典

  • M1911のショルダーホルスター ― M3とM7、空挺兵に好まれたのはどちらか

    ※本記事にはAliExpressアフィリエイトプログラムによるアフィリエイト広告が含まれています。

    誤りがあればご指摘ください。

    M1911のショルダーホルスターと聞くと、映画などで見る「脇の下から抜く」あの姿を思い浮かべる人も多いはずだ。実はWWII中にM3からM7へと、途中でモデルチェンジしている。そして、空挺兵が特に好んだのは新型のM7の方だったという話。


    ① 支給の経緯:M3(〜1944年)からM7へ

    WWII中、M1911用のショルダーホルスターとして「M3」が1944年まで支給されていた。その後、「M7」に切り替わる形で運用されている。パイロット・航空機搭乗員・将校・戦車兵など、腰にホルスターを着けるのが不便な立場の人員向けに支給された装備だ。


    ② M3とM7の違い:チェストストラップの有無

    M3は、単一のショルダーストラップで垂直に吊るすシンプルな構造。一方M7は、複数の角度で調整できる作りに加え、チェストストラップ(胸を回す補助ストラップ)が追加されている。どちらも、ホルスター本体の留め具には「リフト・ザ・ドット」式のスナップが使われている点は共通。


    ③ 空挺兵が好んだのはM7

    ここが今回のポイント。空挺兵の間では、M3よりもM7の方が好まれたとされている。理由は、②で触れた調整可能なチェストストラップにある。降下時の衝撃や体の動きに対して、単一ストラップのM3よりもM7の方がしっかり体に固定できたためと考えられる。「WWII空挺=M3」と短絡的に決めつけず、狙う人員・時期によってはM7の方が実態に近い場合がある点は覚えておきたい。


    ④ 色の変遷:ラセットブラウン(戦中)→黒(1956年〜)

    WWII当時のショルダーホルスターはラセットブラウン(赤みがかった茶色)の革が基本色だった。黒色に変わったのは1956年以降のことなので、WWII考証では黒いホルスターは基本的に時代が合わない。


    ⑤ 実はもっと一般的だったのはベルト式:M1916ホルスター

    ここまでショルダーホルスター(M3/M7)の話をしてきたが、正直に言うと一般の兵士にとって「普通のM1911ホルスター」といえば、ベルトに通すフラップ式の「M1916」の方だった。ショルダーホルスターはあくまでパイロット・戦車兵・将校など、腰にホルスターを着けにくい一部の人員向けの装備。歩兵の場合は、腰のベルトにこのM1916ホルスターを通して携行するのが標準的な姿だ。

    M1916はもともと第一次世界大戦時に制式化された古参の設計で、WWII開戦(1941年末)からしばらくの間は、新規生産分だけでなく、WWI時代の在庫品もそのまま現役で使われていたという。実物はラセットタン(赤みがかった茶色)のオイルフィニッシュ革製で、フラップには「U.S.」の型押し、留め具は真鍮製のスタッド、リベットは銅、ベルト通し金具も真鍮、という組み合わせが基本形。こちらも黒い個体は1950年代半ば以降のものなので、WWII考証では避けたい。

    考証メモ:M1916を作っていたメーカーは16社ほど確認されており、背面に製造元の刻印がある。刻印の年代は1942年・1944年製が多く見つかりやすく、1943年・1945年製は比較的少ない。1944年頃から年代の刻印自体をやめたメーカーが多かったためとされる。


    ⑥ まとめ

    M1911のショルダーホルスターは、「M3→M7」という支給の切り替えと、「空挺兵はチェストストラップ付きのM7を好んだ」という2点を押さえておくと考証の解像度が上がる。色はラセットブラウンが基本、黒は戦後という点も合わせて確認したい。そして⑤で触れた通り、そもそも「ショルダーホルスター」自体が一部の人員向けの装備である点も忘れないようにしたい。


    買い方・調達ガイド

    ③④で触れた通り、狙う人員・時期に応じてM3/M7とチェストストラップの有無、色(ラセットブラウン)を確認して選びたい。

    M3ショルダーホルスター(AliExpress):

    ※商品名の通りM3モデル。③で触れた通り、空挺兵の再現でチェストストラップ付きにこだわりたい場合はM7を別途探す必要がある。

    M1916 ベルトホルスター(AliExpress・一般的な標準型):

    ※⑤で触れた通り、一般的な歩兵の再現を狙うなら、ショルダーホルスターよりもこちらのベルト式の方が実態に近い。


    M1911用 ダブルマガジンポーチ(AliExpress・共通装備として):

    ホルスターと合わせて携行する予備マガジン用ポーチ。M3/M7・M1916いずれのホルスター構成でも、ベルトに通して使える共通装備。


    出典


    関連記事