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※「D-Dayの星条旗パッチはいつ外されたのか」という疑問から調べた記事です。誤りがあればご指摘ください。
D-Dayの空挺兵の写真で、右肩に小さな星条旗のパッチを付けているのを見たことがあるかもしれない。これは「インベイジョン・アームフラッグ(invasion arm flag)」と呼ばれるもので、降下した空挺兵が、後から陸路で合流してくる本隊に誤射されないようにするための識別マークだった。48州分の星が入った星条旗が使われている。
今回調べて分かったのは、「D-Dayだけの特別な装備で、その後は外された」という前提自体が違っていたということだ。
① Type 1:綿ガーゼ製 ― シチリア・ノルマンディー限定
最初期のタイプは綿ガーゼ製で、82空挺師団がシチリア上陸作戦とノルマンディー上陸作戦の降下時のみで使用した。この生地はすぐに緩んで外れ、日光で色褪せてしまうという弱点があった。つまり、意図的に「外した」というより、素材の耐久性不足で自然に脱落・劣化していった可能性が高い。
② Type 2:大判コットン製 ― グライダー部隊が中心
次のタイプはより大判のコットン製で、主にグライダー部隊が着用し、空挺兵は”時々”しか着けていなかったとされる。ノルマンディーでの着用は、部隊・個人によってばらつきがあったようだ。
③ Type 3:紙・オイルクロス製 ― 大戦後半まで支給が続いた
ここが今回一番の発見だった。紙またはオイルクロス製の第3タイプは、南フランス上陸作戦(1944年8月)、マーケット・ガーデン作戦(オランダ、1944年9月)、そしてバーシティ作戦(ライン渡河、1945年3月)でも支給が続いていた。つまりD-Dayはあくまで最初の使用例であり、大戦終盤まで形を変えながら現役の装備であり続けた。
考証メモ:以前の記事で扱ったバーシティ作戦(1945年3月)の考証をする場合、ブーツだけでなく、この星条旗パッチの着用有無・タイプも合わせてチェックする価値がありそうだ。
④ 考証の罠:「D-Dayだけの特別装備」ではない
「腕の星条旗=D-Dayの象徴」というイメージだけで固定しない方がいい。実際には複数の作戦をまたいで、素材を変えながら継続的に使われていた装備だった。さらに言うと、星条旗を腕に着ける慣習自体は、現代の米軍でも形を変えて続いているとされる。「明確にいつ外されたか」という問い自体が、実は前提から見直す必要がある良い例だった。
買い方・調達ガイド
②で触れた大判タイプに近いレプリカが流通している。①の小さな綿ガーゼ製パッチとは別物なので、狙う部隊・時期に合わせて形から選びたい。
②で触れた大判の星条旗アームバンド(AliExpress):
※「early stage(初期)」と「late(後期)」の2色から選べるのがこの出品の面白いところ。①で書いた通り、実物は日光ですぐ色褪せる素材だったので、降下直後の状態を狙うなら鮮やかな初期版、使い込まれた後半の姿を狙うなら褪せた後期版という選び方になる。ただし出品側の「初期/後期」はあくまで色味の違いであって、①〜③で整理したType 1〜3の分類に対応しているわけではない点は注意。
※48星である点は写真で確認できる(州が50になるのは戦後なので、ここが合っていないレプリカは即アウト)。色褪せ表現を自分で作りたい場合はきれいすぎる装備をどう汚す?も参考に。
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