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塹壕・フォックスホールを掘る携帯ショベルは、正式には「エントレンチングツール(entrenching tool)」、略してE-toolと呼ばれる。実はWWII中にT字ハンドルの旧型から、折り畳み式の新型へ切り替わっているのだが、この移行、思っているよりずっと長引いている。
① 開戦当初の標準:M1910 T字ハンドルショベル
アメリカ参戦当初、標準支給の携帯ショベルだったのが「M1910」T字ハンドル型。北アフリカの砂漠戦や、ガダルカナルの火山性土壌での塹壕掘りにも、このM1910が使われていた。大戦前半を通じて、いわば「これしかなかった」標準装備だ。
携行方法も決まっていて、以前のメスキット携行の記事で触れたM1928ハーバーサックにハーバーサックの上、ミートキャンポーチの下に取り付けて背負うのが基本だった。装備一式を組むときは、この位置関係も合わせておきたい。
② 1943年、折り畳み式のM1943へ
T字ハンドルのM1910は、持ち運びの際にかさばるのが弱点だった。そこで1943年、兵站部(Quartermaster)がより携行性に優れた折り畳み式の「M1943」を導入する。
M1943は単に折り畳めるだけではない。刃の角度を変えて固定することで、ピック(つるはし)としても使える多機能設計になっていた。硬い地面や凍土を相手にするなら、この差は大きい。
③ 考証の罠:移行は一気には進まなかった
ここが今回のポイント。M1943導入後も、M1910 T字ハンドル型はすぐには姿を消していない。実際に広く行き渡ったのはもう少し後で、1944年、それ以降まで、T字ハンドル型が使われ続けたという。同じ部隊の中で、旧型のM1910と新型のM1943が同時に混在していたケースも珍しくなかったとされる。
傾向としては、支援部隊・州兵部隊など、最新装備がまだ行き渡っていない部隊ほど旧型が長く残る。「D-Day(1944年6月)=M1943のはず」「1944年以降=折り畳み式一択」と単純に決めつけるのは、考証的にはむしろ危うい。
④ まとめ
携帯ショベルは、「1943年にM1943へ切り替わった」という支給上の建前と、「実際にはT字ハンドルのM1910も長く現役だった」という現場の実態にズレがある装備の代表例だ。狙う年代・部隊だけでなく、「後方か前線か」といった立場でも選ぶべきタイプが変わってくる。逆に言えば、どちらを選んでも説明がつく珍しい装備でもある。
買い方・調達ガイド
③で触れた通り、1944年以降の設定でもT字ハンドル型を選んで問題ない場合がある。逆に折り畳み式(M1943)が欲しい場合は別途探す必要がある点に注意。
M1910 T字ハンドルショベル(カバー付き)(AliExpress):
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