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※すでにK-レーション・FRHなど個人携行食の記事を書いてきたが、今回は「後方で調理して届けられる温かい食事」――野戦炊事(フィールドキッチン)の話。誤りがあればご指摘ください。
K-レーションやC-レーションは、あくまで個人が携行する非常食に近い。だが実際には、状況が許せば後方で調理した温かい食事を、前線近くまで届ける仕組みも存在していた。いわゆる野戦炊事、炊き出しだ。
① 野戦炊事の仕組み
調理にはM1937フィールドレンジという、液体燃料で動く可搬式のコンロが使われた。揚げる・焼く・煮込む、さらにはパイまで焼けるほど汎用性が高かったとされる。
1つの炊事班で150〜180人分の食事をまかなえる規模感で、中隊〜大隊単位で運用された。前線から一定の距離を置いた後方に設置され、調理した食事はジープ・トラック、時にはラバなどを使って前線近くまで運ばれた。「忌み嫌われるC-レーションと、飢えとの間にあるもの」という表現が使われるほど、前線の兵士にとって野戦炊事の温かい食事は貴重な存在だった。
② 普段のメニュー例
1日最低2回の温かい食事の提供が目標とされ、実際のメニューにはこういったものが挙がる。
- ハム・卵・ポテト
- 肉と豆の煮込み
- チキンと野菜
- ビスケット・シリアル・コーヒー・角砂糖・コーティングピーナッツ
- ポーク・アンド・ビーンズ
- ミート・スパゲッティ
- ハムとライマ豆
缶詰の肉・野菜を中心に、質より量・カロリー重視の献立が多い。
③ 特別な日のメニュー:感謝祭・クリスマスの七面鳥
士気維持のため、感謝祭やクリスマスには特別なディナーが用意されることがあった。1943年には、七面鳥・付け合わせ・クランベリーソース・各種パイなどを満載した輸送船2隻分の感謝祭物資が、ヨーロッパ・太平洋の両戦域に向けて送られている。
献立の例:
- 七面鳥のロースト+スタッフィング
- ジブレット・グレービー
- クランベリーソース
- キャンディード・スイートポテト
- グリーンビーンズ、アスパラガス
- フルーツサラダ、セロリ、ピクルス、オリーブ
- ロールパン、バター
- ミンスミートパイ、キャンディ、ナッツ、コーヒー
調理は後方の移動式炊事班が担当し、ジープ・トラック・ラバなどで前線まで運ばれた。
④ 現実とのギャップ:全員が食卓につけたわけではない
ここが考証上大事な点だ。感謝祭・クリスマスであっても、全員がきちんとした食卓で温かい七面鳥を食べられたわけではない。後方の宿営地なら食堂でしっかり食事にありつけた一方、実際に戦闘が続いている前線では、結局C-レーションの缶詰を塹壕や戦車の中で食べるだけだった、というケースも多かった。「特別な日のメニュー」を再現するとしても、それが後方の恵まれた状況を再現しているのか、前線でありつけなかった側を再現しているのかで、話がまったく変わってくる。
⑤ 空挺兵との関係
降下直後の空挺兵は、当然ながら野戦炊事にアクセスできない。だからこそK-レーションのような個人携行食が必要だった。野戦炊事の温かい食事にありつけるのは、本隊と合流した後、あるいは戦線が落ち着いて後方に下がった休養期間に限られる、という位置づけで理解しておくのが良さそうだ。
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