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※この記事は、まだ実物・レプリカを手元に持っていない段階で書いている下書きです。断定できる部分と、諸説あって断定を避ける部分はなるべく分けています。誤りがあればご指摘ください。
撃墜されたり、降下地点を大きく外れたりして敵地に取り残されたとき、頼りになるのは地図だ。ただし紙の地図には弱点がある。ガサガサと音がして隠れているときに敵に気づかれやすく、水に濡れればふやけて破れる。そこで一部の航空兵・空挺兵に支給されたのが、布(シルクやレーヨン)に印刷された「シルクマップ」だった。
① なぜ紙ではなく布だったのか
布地図の利点は主に3つ。
- 静音性 ―― 紙のようにガサガサ音がしないため、隠れて行動するときに音で気づかれにくい
- 耐久性 ―― 水に濡れても破れにくく、繰り返し折り畳んでも紙のように破損しにくい
- 隠しやすさ ―― 薄く畳めるため、衣類の裏地に縫い込んだり、小さく丸めて隠したりしやすい
敵地での脱出・帰還(いわゆるE&E: Escape and Evasion)を想定した装備として、航空兵はもちろん、降下地点を外れて孤立するリスクのある空挺兵にも一部支給されていたとされる。
裏取りの結果、開発の経緯がかなり具体的に分かった。考案したのはMI9(英軍の脱出・逃亡支援を担当する諜報機関)の将校クリストファー・ハットン。地図データそのものは、地図出版社ジョン・バーソロミュー&サン社(John Bartholomew & Son Ltd、エディンバラ)がヨーロッパ・アフリカ・中東の地図を提供したことが土台になっている。印刷を担当したのはジョン・ワディントン社(John Waddington Ltd)――英国版モノポリーの製造元として知られる会社だ。1942年、英供給省がMI9向けの印刷をワディントン社に発注し、同社はすでに絹への印刷技術を確立していたため白羽の矢が立った。戦争を通じて約350万枚の脱出用地図が作られ、およそ750件の脱出を助けたとされる。
② 実物の特徴
【要確認:実物入手後に追記】布地に直接印刷された地図で、対象エリアは戦域ごとに異なるパターンが存在したはずだが、正確なサイズ感・印刷の質感は実物を見てから書く。
③ 「モノポリー伝説」は事実だった
捕虜収容所宛てにモノポリーなどのボードゲームの箱に地図や小道具を忍ばせて送った、という話は、単なる伝説ではなく実際に行われていたことが確認できた。地図を印刷していたジョン・ワディントン社自体がモノポリーの製造元だったため、社内に工場の一角に秘密の部屋を設け、選抜された社員がゲーム盤に地図やコンパスなどの脱出用小物を仕込む作業を行っていたとされる。ボタンや鉛筆の消しゴム、靴のかかとに隠す方法もあった。
④ 考証判定:現行レプリカとの違い
【要確認:実物入手後に追記】現行のレプリカ布地図は、光沢のある化学繊維に印刷されているものが多く、当時の風合いとは異なる可能性がある。実物の生地の質感・印刷方式との違いは、現物を見比べてから具体的に書く。